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クリニックBLOG

2011年9月14日 水曜日

マンドリンに囲まれて

 
マンドリン情報誌「奏でる!マンドリン」の取材を受けました。その記事を転載します。
 
関係者の間では有名な川喜多氏のコレクションを拝見するため、大阪市内の川喜多クリニックを訪ねました。
 川喜多順二氏は泌尿器科のお医者さん。その趣味に関する記事は、医療雑誌「メディカル朝日」に「私の心はマンドリン」として掲載されたこともあり、そのコレクターぶりは広く知られている。私も以前から興味を持っていたが、今回「奏でる!マンドリン」の取材を快く受け入れてくださったので、そのコレクションを拝見しに伺った。
 
診察後のクリニックを訪ねると、診察室には様々なコレクションが所狭しと並んでいる。マンドリンそのものはもちろんのこと、マンドリンをモチーフにしたアクセサリーや小物、人形や絵画で(少なくとも)一角は完全に埋め尽くされている。
レントゲンフィルムの棚には茶封筒に入れて整理された楽譜が並び、患者さん用のベッドの下も資料の山だ。録音物はSP盤、LPレコード、カセットテープからCDにいたるまでマンドリン尽くし。そして、それを再生する複数のオーディオ装置。それにとどまらず、本棚には、今ではほとんど入手不可能な「マンドリンとギター」「マンドリンギター研究」「アルモニア」「フレット」など、マンドリンに関する歴史的な書物を筆頭に、ありとあらゆる資料が並ぶ。診察室としての機能を凌駕せんばかりの物量である。
お話を伺うと、川喜多氏はジュゼッペ・アネダの演奏に衝撃を受けてマンドリンにのめり込み、故縄田政次氏の影響を受けて様々な資料の収集を始めたとのこと。そして、日本屈指のプロマンドリニスト、小田善朗、粂井謙三両氏にレッスンを受けて自ら演奏の腕も磨いているという。
 
さて、そのコレクションの中でもやはり一番気になるのはマンドリンの名器の数々である。カラーチェ1世のクラシコA、べっ甲ボディのカラーチェ、ルイジ・エンベルガー5bis、ヴィナッチアのヴィーナス、ペコラーロなど、マンドリン弾きにとって垂涎の名器が勢ぞろい。数もすごいがそのクオリティに驚いた。その多くは80~100年前にイタリアで製作されたオールド楽器であるがどれも最高のコンディションに調整してある。単にグレードが高いだけでなく、どれも素晴しく鳴る。しかも、どれもきちんと調弦済みだ。聞けば、毎日必ず全ての楽器を触っている(弾いている)とのこと。「好きだから」といえばそれまでだが、なかなかできることではない。
オールド楽器は世代を超えて人の手を渡っていくものであるが、川喜多氏のマンドリンへの接し方には、縁あって所有者となっているものの、当代その楽器を預かる者としての謙虚な使命感のようなものさえ感じた。単なる物集めのコレクターではなく、マンドリンに関わる全ての文化に愛情を注ぎ、それらに囲まれていることに幸せを感じている様子であり、誠に感銘を受けた。
取材・文:吉田剛士
 


投稿者 川喜多クリニック